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【オーストラリアの紫外線強度】日本の日差しとのデータ比較


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オーストラリアの日差しは日本よりも強いのか?

今回はタイトルの通り、オーストラリアと日本の日差しを可能な限り正しいと思われる方法で比較したい。

この記事で行うデータ比較から得られる結論を先に記す。

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夏場の『各月のUV最大値』の比較から、
・オーストラリアのほうが日差しが強いといえる
・『オーストラリアの日差しの方が日本より〇倍強い』という、ネット記事で見られる主張は裏付けられない

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この記事を書こうと思ったのは、オーストラリアの日差しの強さについてググっていても、納得できる情報が得られなかったことがきっかけだ。

以下を主張するWeb記事が散見されたのだが、引用されている資料をよく読むと主張の問題点が見られ、自分でも改めて比較したくなった。

▼▼▼Web記事の主張▼▼▼
 1.オーストラリアの日差しは日本の5~7倍強い
  問題点:数値に基づく明確な根拠なし

 2.オーストラリアの日差しが日本の○倍強いというのはウソ:日差しの強さはほぼ変わらない
  問題点:用いている数値データでは根拠不足

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「1.日差しが日本の5~7倍強い」という主張に関しては、「2.日差しが日本の〇倍強いというのはうそ」と主張する記事でも根拠不足が指摘されている。私も完全に同意で、数値データにもとづいた比較が必要と考える。

むしろこの記事では、「2.日差しが日本の〇倍というのはうそ:日差しの強さはほぼ変わらない」という主張を検証する感じだ。

というのも、これを主張している記事では、意図したデータ比較ができていないように見えるからだ。にもかかわらずこの主張に対しての反論記事が見当たらないというのも、私がデータ比較するモチベーションとなった。

 

では、「2.日差しが日本の〇倍強いというのはうそ」と主張する記事で引用されている資料を見てみよう。

 

引用されているのは、世界保健機関(WHO)が発表しているUV指数(※)に関する下記のデータ。

※UV指数:紫外線の健康への影響・危険度を数値化したもの(概ね、値は1~11の間で表されるようだが、11以上になる場合もある)

f:id:kiyoping:20190603212513p:plain

WHOウェブサイトより引用 月別UV指数 都市間比較表

この表だけでみてもよくわからんという感じだが・・・たしかに一見、それぞれの夏の季節の数字を見ると(季節が逆であることに注意)、日本とオーストラリアの数値が同じくらいに見えなくもない。

特に緯度が近いところどうし(Japan(Tokyo)、Australia(Melbourne)、Australia(Sydney))の値は、8~10とほぼ同じに見える。しかし、この値がどういう統計値なのかしっかり理解する必要がありそうだ。

表上部の記載に注目したい。

 f:id:kiyoping:20190603212317p:plain
 図.表上部の説明
【日本訳(意訳)】下記テーブルは、季節及び緯度によるUVの変化を表す。異なるの国の広範な都市を対象に、各月の21日に対しての値(最大UV指数)を算出している

つまりこの表の意図は、季節や緯度によるUVの違いを大まかに示すものであり、UVあるいは紫外線の強さを適切に比較するための資料ではないのだ。適切な比較には、各月の平均値のように「日ごとに値がばらつくことを考慮した統計値」でなければならない。

平均値を出しておらず21日の値が示されているとなると、「8月21日、シドニーの天気が大雨だったので、算出されたUV指数は8月で最も低い値だった」という極端な例となっている可能性さえありえるからだ。

 

それでは、適切な形で比較するために、各月の平均値を参照してみよう。今回はWeather Atlasというサイトを参照することとした。当サイトでは各月におけるUV指数の平均値が参照できる。

今回参考にするのは、UV指数最大値の平均値(※)。
※ややこしいが、たとえば8月なら「1~31日までそれぞれ31個の最大値が出そろうので、それを全部足して31で割る。こうして計算した”日”の平均値が年ごとに出そろうので、それらも足して割って平均値にする」・・・みたいな感じ。

 

下記が今回の対象都市。選定基準は気分!!
東京 https://www.weather-atlas.com/en/japan/tokyo-climate
大阪 https://www.weather-atlas.com/en/japan/osaka-climate
シドニー https://www.weather-atlas.com/en/australia/sydney-climate
アデレード https://www.weather-atlas.com/en/australia/adelaide-climate
パース https://www.weather-atlas.com/en/australia/perth-climate
ダーウィン https://www.weather-atlas.com/en/australia/darwin-climate

 

下表に値を要約。

f:id:kiyoping:20190423170906p:plain
 ※緯度の値は List of cities by latitude から引用
  

表の中で、UV指数が11以上(WHOが極端に強いとしている値)となっている月に注目する。そして、11以上を記録する月が一年に何月分あるのか、それぞれの都市で数えてみる。

まずはオーストラリア勢。シドニー3回アデレード3回、パース3回ダーウィン9回である。次に日本勢。東京0回、大阪1回那覇5回である。

日本勢の完敗感・・・・

 

やはり緯度が低いほどUV指数が高い傾向は変わらず、那覇ダーウィンでは、UV指数が11以上となる月が同国内で圧倒的に多い。

次に残りの都市(全て緯度30~35°辺り)で比較してみると、UV指数が11以上となる月の数は、オーストラリアの都市の方が多い。

この結果をみると、オーストラリアの都市のUV指数のほうが夏場は高いと判断して良さそうである。

 

これらを踏まえると、2つのことが言えそうだ。

1つは、月のUV最大値(平均)でみると、夏場に限っては、オーストラリアのほうが日差しが強いと言えるだろう。

実際、筆者は2018年12月~2019年3月までの夏場をオーストラリアのパースという都市で過ごしたが、体感でもやはりオーストラリアの日差しのほうが強いと感じる。サングラス無しで日なたに出ると、5分ほどで頭痛が襲った。

これは日本の東京都心の夏では経験したことが無かったのでとても驚いたことを覚えている。パースの夏に、サングラスと日焼け止め(帽子もあるのが理想)は必須。もちろん日本の夏でも日差し対策は同じくらい重要だと思う。

2つ目は、最初のほうで触れた『1.日差しが日本の5~7倍強い』という主張は、今回参照したデータでも見られなかった。噂が一人歩きしたのか、あるいは季節が逆転していることを考えず、同じ月で(日本の冬場、オーストラリアの夏場で)UVを比較してしまったための誤解と考えられる。

 

以上、今回はオーストラリアと日本の日差しの強さについて、私なりに適切と思うデータを用い、改めて比較してみた。そしてオーストラリアの日差しのほうが強そうだということがわかった。

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