別のブログで、オーストラリアと日本の日差しに関するデータを比較し、オーストラリアの日差しのほうが強そうだと述べた。
今回は、オーストラリアの日差しが日本より強い理由について考察する。
若干唐突ではあるが、私がオーストラリアに来たばかりのころ、語学学校の先生から「オーストラリア上空は何かしらの理由でオゾン層が薄い」という話を聞いた。オゾンは太陽光の一部(紫外線)を吸収する役割があるので、オゾン層が薄い地域のほうが日差しが強いと考えてよさそうである。
この観点からオゾン層の分布について調べてみたところ、オーストラリア上空のほうがオゾン層が薄いというのは事実のようだ。そしてそれこそが『オーストラリアの方が日差しが強い』理由と言えそうだ。
下記資料の図を見ると、『日本が秋・オーストラリアが春の季節』を除くと、オーストラリア周辺のオゾン量が日本周辺に比べて低い傾向が見てとれる。
(アメリカのEarth System Research Laboratory (ESRL)という研究組織が発行している資料(こちら)より)
上記資料では、『中高緯度地域をみると、一般に南半球のオゾン層のほうが北半球よりも薄い』との記載がある。それには、いわゆるオゾンホール(化学物質の影響でオゾン量が極端に低いエリア)が関係しているようだ。オゾンホールは南極付近で顕著であり、北極では目立たないとのことである。
では、なぜ南極付近でオゾンホールが顕著なのか。別の資料(こちら:前述のESRLの別の資料)によると、その理由は気候条件によるそうだ。
第一に、南極付近のほうが北極付近に比べて気温が低いことが関係しているそうだ。オゾン層の破壊に与える化学物質の影響は、気温が低い地域で強くなるとのことで、それこそが南極でオゾン層破壊が顕著である理由である。
南極付近のほうが気温が低い理由は、南極付近の大部分を大陸が占めている一方で、北極では海が大部分を占めていることが関係しているようである。地上・海上に届く太陽の光が極端に少ない地域では、一般に、海の上空よりも陸地の上空のほうが気温が低いとのこと。
【参考になる記事】
第二に、南極付近では、特に冬場の間は周辺地域と混ざりにくい大気の流れとなっているそうだ。これにより、オゾン層が薄くなった極域上空に周辺からのオゾン供給が殆どなされないとのこと。
これら2つの要因によって南極付近のほうがオゾン量が少なく、それが周辺の中高緯度地域にも波及することで、南半球上空のオゾンが少なくなるのだと考えられる。
むしろ『北極周辺では年間を通してオゾン量が高い傾向にあり、季節的な大気循環のなかでオゾンが北半球の中高緯度地域に供給される』という表現のほうがより正しいかもしれない。
参照した資料を見るとオゾンの量や循環に季節変化があるようなので、細かいところまで正確な説明ができていないかもしれない。ただ、考え方としては大方合っているはずだ。
いずれにせよ、タイトルの問いと同じことを聞かれた場合は、『オゾン量が少ないかららしいよ!』と得意気に答えるとよいだろう。