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年齢によって語学習得を悲観する必要はない | 日本人のための英語習得Tips


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語学習得を難しくする要因の1つとして年齢が挙げられることがある。

『年齢が高いほど語学の習得が難しくなる』、あるいは『小さい子の方が語学習得が速い』などそうした類のものを私は聞いたことがある。こうした年齢による語学習得への影響は、どうやら複数の研究によって科学的な裏付けがなされており、語学の研究分野では常識となっているようだ(例えば、Why Is It Hard For Adults To Become Fluent In English? - eLearning Industry参照)。

私はこの『年齢』が影響するというのに異論はないが、年齢と相関している何か別の要因(年齢と強く関係していて、年齢が原因であるかのように見せてしまっている要因)をしっかりと捉える必要があると考えている。年齢と相関している要因を取り除くことで語学習得を比較的易しくできるのではないか、と思うからである。

年齢と相関していそうな要因として、下記が思いつく。

 ・ミスをすることで感じる恥ずかしさの度合い
   → 子供の方が恥ずかしさを感じづらい
 ・習得する語学に触れられる時間
   → 子供の方が語学習得に充てられる時間が多いかもしれない
 ・手取り足取り語学を教えてくれる人が身近にいるか
   → 子供の方がそうした人物が近くにいる可能性が高いかもしれない

まず、ミスをすることで感じる恥ずかしさについては、物心がついていない子供の頃は、いくら発音や文法のミスをしても、今と比べると恥ずかしさなど感じないに等しいだろう。そんな中でたくさんのミスをして、英語話者や先生から指摘をくらい、修正していくといくはずである。英会話力を習得するうえでミスをすることは非常に重要な過程であり、恥ずかしさを感じずミスをたくさんできる子供の方が、語学習得に精神的に優位な立場にいるのではないかと私は考えている。

次に、習得する語学に触れられる時間についてであるが、我々は退職後を除き、年齢を重ねるにつれて忙しくなる。特に、成人して働いている人が英語学習に充てられる時間は、一般に、小さい子供の時間と比べて多くないと考えられる。子供であれば、親に個人レッスンの先生などをつけられてしまえば、決められた時間に従って嫌でもレッスンを受けざるを得ない。

3つ目の『手取り足取り語学を教えてくれる人が身近な人物』については、英会話の個人レッスンなどでも先生が小さい子供に指導するときのほうが遠慮なく手取り足取り指導しそうである。また、私の経験上、小さい頃から第2言語を学んでいる人にはその言語を話せる身近な人物(親、親戚など)がいる傾向にある印象を受ける。

この3点で挙げた子供が持つメリットは、子供が母国語を学ぶ際にも見受けられるものである。我々は小さい頃、恥ずかしさを感じずにたくさんミスをしながら日本語を学んできたはずである。小さい頃、起きている時間の全て、そして夢の中でも日本語に触れ続けていたはずだ。また、親、祖父母、兄弟が常に母国語で話しかけ、間違ったことを言えば訂正してくれたはずだ。

こうした状況をもし大人になった私たちが作れた場合にでも、本当に子供より語学習得が難しいのだろうか。仮に脳の柔軟性等の理由で難しかったとしても、悲観しなくてはならないほどのものなのであろうか。

ここで、実際に私が渡豪後に生で見た子供の語学成長について記載したい。
ホームステイ先のホストマザーには3才半の孫息子がいるのだが、彼の英語の向上ぶりに関してである。最近の彼、半年前の彼、渡豪当初に初めて会った際の彼の姿を動画に撮っていたので、本当はこれをお見せしたいのだが、プライバシー保護の観点からお見せすることができず非常に残念である。

渡豪した当初ホームステイを始めた際、彼が家に来て一緒に遊んだ。彼は、長い文章は話せず、おもちゃの名前を一語で発したり、短い文章を非常に聞き取りづらい発音で発したり(これは非ネイティブである私の私見ではなくホストマザーの反応からも明らか)していた。この時点では、発音についてはよくわからないが、文法の知識も語彙力も明らかに私のほうが高かったと思う。聞き取る力に関しては、親や祖母が言ったことを理解していそうだったので、恐らく既に彼の方が数段高かっただろう。

1年7カ月立った今、最近の彼は話出すと止まらない。ほとんどが短い文章であるが、文法はほぼ完璧である。
 Can you sit with us?
 Can you help me?
 I wanna play chace with you. I want you to chase me. I wanna catch you now, "私の名前"
 This is Spider man.
 Don't be scared, "私の名前". That's not scary。
 Don't go too high. I don't like it.
 Put your phone in your pocket.

もしかすると、難易度が高い文法や語彙力に関しては私の方がまだ高いレベルにあるのかもしれない。ただ、発音、ネイティブスピーカとのコミュニケーションという意味では、私は完敗である。この1年7ヶ月、私は自分なりの方法で文法を意識しつつ会話表現を習得し、英会話力の向上を図ってきたが、2~3才の子供のほうが明らかに英会話力が伸びたのである。

この理由について、年齢だけを挙げるのは適切でないと思う。この子は、両親、父方及び母方の祖父母、姉から常に英語で話しかけられ、姉と一緒に英語のYouTubeを見て、英語の本を読み聞かせて貰って、というように四六時中英語を聞いてきたわけである。

そして、自身もそれらの英語を真似て発し、皆から訂正を受けながら発音やフレーズを修正してきたのだ。一方の私は、朝起きて日本のYahooニュースを見ることもあれば、通勤の車の中で日本語の歌を歌うこともあれば、日本の友人と電話することもあった。そして今こうやって日本語のブログを書いている時間も英語から離れている。誤った英語を話したとしても、僕から敢えて質問しない限り、僕の英語を修正してくれる人も周りにはいない。

年齢のことを一旦無視したとしても、この1年7ヶ月の間に英語に触れてきた量で既に完敗しているのである。

ちなみに2ヶ月前にこの子は『I can't go to your house because of Kookaburra(現地に住む笑うような鳴き声を出す鳥の名前)』と言って皆を笑わせていたようだ。彼が言いたかったのは『I can't go to your house because of coronavirus』だそうだ。つい数週間前にこの子に会った際に『Why can't you come over our house?』と聞いたら、正確に『Because of coronavirus』と言っていた。恐らくあまり恥ずかしい思いをせず、2ヶ月の間にこのようなミスを何度かし、彼の英語は直されたのだ。

 

私は、英語習得に励んでいる人に、年齢を理由にモチベーションを失ってほしくない。それが、この記事を書いた理由である。年齢を理由にする前に、英語に触れる時間を作り、ミスをし、訂正を受けられるような環境を可能な限り作るほうが先だと思う。

最後に年齢が語学習得のハードルを上げないかもしれないと希望を持てる動画を紹介したい。
Twisted Helixさんという方によるYouTube動画の中の、Steve Kaufmannさんという20ヶ国語を話せる人へのインタビューで、年齢と語学習得について触れている。彼はこのインタビューの時点で『74歳』だが、年齢を重ねるほど語学習得が楽になっていると言っている。

youtu.be

 

私自身あと半年で30歳になるが、未だにゆっくりではあるが着実に英語が伸びている実感があり、年齢を理由に語学習得を諦めたくないと日々思っている。

【参考になるWebサイト】
Am I too old to learn a new language? | Education | The Guardian

 若くない方にとって語学習得のモチベーションを高めてくれる記事である。『一連の研究は、"何か新しいことを学ぶ際に歳を取りすぎてしまっているということはない"ということを示している』『年を取るほど語学習得が難しくなる面があることを認めつつ、一方で語彙力が豊富だという点で子供よりも習得が易しくなる面もある』という記載が印象的である。

・ Why Is It Hard For Adults To Become Fluent In English? - eLearning Industry

 子供が母国語を習得していくの過程について述べ、大人がそれと同様の過程で語学習得する難しさについて論じている。